医学部における感染予防対策(結核をのぞく)の実際

2016年3月
大分大学保健管理センター挾間健康相談室

はじめに
 医学部学生(医療系学生)や医療従事者(医師・看護師など医療機関で働く人)は実習や仕事で医療機関に来る不特定多数の人々と接する機会があり,もし感染すると自身の健康を害するだけでなく,同僚や患者さんへ感染を拡大させる危険性がある。空気感染を起こす疾患の場合,学生ではサークル活動や講義室での同席を通じて他学年や他学部へ拡大する懸念もある。 以上のことからこれらの感染症は予防することが大切で,ワクチン接種が第一の予防策である。センター挾間健康相談室では感染に対する抵抗力が今の時点でどの程度かを確認するために可能なものについては検査し,抗体のない場合はワクチン接種を勧奨している。

1. B型肝炎
 新入生(大学院生も含む)に対しては入学前にHBs抗原・抗体検査を実施する。HBs抗原陽性が判明した場合は医療機関を紹介し,定期的な経過観察を受けることを指導する。
 HBs抗体陰性者にはワクチン接種を勧奨する。センター挾間健康相談室において抗体検査結果の個別配布とワクチン接種希望調査を行う。ワクチン代金は全額自己負担とし,3回(例年 6月,7月,12月)接種とする。抗体価はCLIA法で測定,10未満のものには 3回接種を勧奨する。
 ワクチン接種後の抗体確認検査は検査料金の実費を自己負担で,3 回目接種1ヵ月後を 目安に実施する。採血・結果のとりまとめはセンターでおこない,抗体価に応じた指導をおこなう。
 臨床実習中の針刺し,粘膜汚染等の事故発生時には臨床実習の手引きにあるように附属病院感染制御部のマニュアルに準じて対応する。附属病院消化器内科受診の際には,センター挾間健康相談室で紹介状を作成する。学生保険を適応可能であれば申請する(対応は学務課)。
 *C型肝炎 針刺し等の汚染事故発生時は上記に準ずるが学生保険の適応外。

2. ウイルス感染症
 麻疹・風疹・水痘(水ぼうそう)・流行性耳下腺炎(おたふく風邪)
 入学手続きの書類に抗体検査実施依頼文書と抗体証明書を同封の上,入学前に各自,血液検査を実施する。
 提出された証明にて十分な抗体量をもたないと判断した学生にはワクチン接種を勧奨する。

*ワクチンは弱毒生ワクチンなので次のワクチンまで4週間以上の間隔が必要。

3. インフルエンザ
 例年,10月に接種希望者の調査(予約)を行い,ワクチン代金実費負担で11月に接種。罹患学生についてはできるだけ情報収集し,感染拡大がある場合は注意を喚起する。

4. ノロウイルス感染症
 来所相談者の症状から疑われる学生については日常生活上の注意,感染拡大防止の注意などを指導,必要な場合は医療機関受診を指導。